国立オペラ・カンパニー 青いサカナ団





Repertory -公演詳細-

歌劇「僕は夢を見た、こんな満開の桜の樹の下で」



<東京文化会館委嘱作品であり、佐川吉男音楽賞を受賞した青いサカナ団の“最高傑作”が待望の再演!>
神田慶一(国立オペラ・カンパニー 青いサカナ団芸術監督)

桜の花が満開の季節、ごく日常的な週末の夕方、都内某所のファミリーレストランに2人組の銀行強盗が逃げ込んで来る。彼らは客達を人質に立てこもるが、俗に言う「ストックホルム症候群」の如く、犯人と人質は奇妙な連帯意識の中で現代社会について語り合い始める。犯人の1人ジローは、サクラと名乗る美しい人質の女性から意外な提案をされる。それは彼をここから逃がし、しかも彼の夢を叶えてあげるというものだった。春の夜の夕闇が迫り、ジローは世にも不思議な夢を見ることとなる。彼が生きるために選ぶのは「永遠の夢」か、それとも「苦い現実」か?

これまで8作もの、それぞれに斬新で刺激的な新作オペラを発表してきた青いサカナ団芸術監督・神田慶一が03年に東京文化会館委嘱作品として発表したこの作品は、初演時から高い評価を受け、同年の佐川吉男音楽賞を受賞した。極めて演劇性の濃い群像劇であり、現代社会の風刺でありながら、時代を越えて日本の美を追求した意欲作である。21世紀のスタンダード・オペラとして今後語り継がれるであろうこの“現代の寓話”がいかに皆様の心に響くか、ぜひ皆様自身で体験して頂きたい。



<本当は楽しい!日本語の創作オペラ>
池田卓夫

国立(くにたち)オペラ・カンパニー「青いサカナ団」の主宰者で音楽監督、神田慶一が東京文化会館委嘱作として自ら台本を書き作曲、2003年に初演した創作歌劇「僕は夢を見た、こんな満開の桜の樹の下で」が5月27日、なかのZEROホールで再演される。三島由紀夫や坂口安吾の文学に想を得ながら、ファミリーレストランという極めて現代的な空間を舞台にした室内オペラは、同時代の高度な作曲技法を駆使しつつも、劇場の生理に逆らわず、時にミュージカルのような親しみやすさも交えて観客を魅了する。オペラ評論でも活躍した故・佐川吉男武蔵野音楽大学教授を記念して創設された音楽賞で、第一回の受賞作に選ばれたこともまた、作品の水準の高さを物語る。指揮も演出も、神田が手がける。

実は今年1月から3月にかけ、首都圏で初演された日本語の創作オペラ6作品を全部みた。鳴り物入りの豪華創作陣を擁しつつ「大コケ」に近かったグランドオペラもあれば、独特の機知で小さなホールを夢の空間に一変させた室内オペラもあった。無理やり問題点を一般化すると、まず第一に、若い頃から劇場に出入りし、音楽劇の生理を全身に植えつけた作曲家や台本作家でない限り、オペラは創作できない。作曲家として功なり名とげ「そろそろオペラの一つも書いて“ダメ押し”をするか」くらいの気持ちで書かれた作品は、とてつもなく器楽的で、声楽独自の表現力とかオペラ歌手の能力を無視しているのか、居心地の悪い雰囲気に満ち満ちている。肝心の場面でオーケストラだけが雄弁に音楽を語り、歌が入った途端、ベタな語りに即物的音響を与えただけの摩訶不思議な拷問の時間となる。

第二に、日本には「リブレッティスト」と呼ばれるオペラ台本の専門作家が育っていない。有名な小説家や詩人を創作オペラの台本に起用した場合、印刷された台本や(日本語上演なのに用意された)字幕ではそれなりに読みやすい内容であっても、歌の台詞としては硬く、美しくない言葉が連なる結果を招く。言葉で言い表せない部分は思い切って音楽に委ねてこそ、過去から現在、未来までの時間と空間を自由に往来できるオペラの魅力は増す。ありきたりの男女の愛憎であっても、音楽の展開する過程で物語が形而上の世界へ転じ、普遍の真実に昇華するから、繰り返し鑑賞できるオペラとしての価値が定まるのである。

第三に、作曲家や指揮者並みに楽譜が読める演出家が欧米に比べ、徹底的に少ないこと。台詞の抑揚を自由に変えられる芝居と違い、オペラは抑揚が譜面の音価に規定されるため、オーケストラも含めた総譜から演技の詳細を発想し、発声ポジションを考慮しながらなお、「オペラ歌手特有の演技」を徹底して排除し、人物のリアリティを高めていく必要がある。

神田とサカナ団の歩みは、日本語の創作歌劇が抱える問題点を一つずつクリアしながら、何も知らない人が観ても「面白い」と思える舞台をつくるための挑戦以外の何物でもない。





Member introduction

Staff
 
 
原作・脚本・作曲:
指揮&演出:
美術&照明:
衣 裳:
音 響:
メイク:
演出補:
舞台監督:
音 響:
演出補:
副指揮:
キャスティング&プレス:


神田慶一
神田慶一
八木清市
武田園子
細越泰良
エイミー前田
小谷 武
岩戸堅一
細越泰良
小谷 武
高野秀峰/川崎嘉昭
池田卓夫

原作・脚本・指揮:神田慶一
指揮&演出:神田慶一



Cast

サクラ:
ジロー:
タクロー/鍵の男:
老人/執事:
作曲家/編集者:
看護婦/美女-1:
若い女/美女-2:
ウェイトレス/美女-3:
若い男/新聞記者:
若い男/新聞記者:
警部/司会者:

合 唱:
管弦楽:

並河寿美
樋口達哉
今尾 滋
岸本 力
三塚 至
宮本彩音
城田佐和子
高橋華子
田代万里生
山崎育三郎
岡戸 淳

青いサカナ合唱団
Orchestre du Poisson Bleu


[サクラ]
並河寿美



[ジロー]
樋口達哉


[タクロー/鍵の男]
今尾 滋


[老人/執事]
岸本 力

[作曲家/編集者]
三塚 至



[看護婦/美女-1]
宮本彩音


[若い女/美女-2]
城田佐和子


[ウェイトレス/美女-3]
高橋華子
 

[若い男/新聞記者]
田代万里生

 
[若い男/新聞記者]
山崎育三郎

 
[警部/司会者]
岡戸 淳

   
 





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