国立オペラ・カンパニー 青いサカナ団





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◆第18回公演 歌劇
「祭の唄がきこえる」
Ecoutez le Chant de la Fete
2000年 4月9日 於・ティアラこうとう大ホール

作曲 :神田慶一
原作 :神田慶一(新約聖書の「放蕩息子」を下敷きとした)
指揮 :神田慶一
演出 :彩乃木崇之
脚本 :岩鬼まさみ
Cast :
マナミ;菊池美奈  ナオキ;所谷直生  シャドウ;高島秀美  父親;大久保秀時  母親;卜部博子
エミ;多田麻由美  マンハッタンのババ;米谷毅彦  アキラ;若山 慎  イッサ;佐々淑子



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 江東区に於けるサカナ団第3弾であり、江東区区民でオペラをつくる会との共同製作で実現した大作です。江東区に於けるそれまでの2作(『銀河鉄道』と『アリス!』)が共に再演であったのに対し、この作品は正真正銘の江東区によって生み出された新作です。

 祭の最中に橋が落ちて死者・怪我人が出たという挿話は江戸時代の江東区の史実に基づいたものであり、内容も手法も江東区民との協力体制の総決算と言うべき作品になりました。サカナ団以外に区民の方々だけでも合唱、役者、ダンサー、裏方に至るまで舞台内外に150名以上の方々が活躍して成立した「市民オペラ」活動の面目躍如とも呼ぶべき出来映えです。サカナ団活動史で最大級の規模を持つ作品でもあります。

 題材自体は「放蕩息子」を現代の東京に置き換えた物語ですが、現代日本が抱える様々な問題、家族崩壊、地域社会の崩壊、若者の故郷離れ、子供達のいじめ等々、タイムリーなネタで構成されています。しかし根底に流れるテーマは神田自身の少年時代(昭和40年代)の日本の原風景へのオマージュとセンチメンタルであり、「祭」というキーワードの下に再生される物語は、そのまま舞台活動に於ける人々のつながりや信頼、希望の回復などを期待し続けている自分達の活動への賛歌でもあるのです。すなわち舞台上で「祭を再び甦らせよう」と試みる有志達は、「舞台活動で人々の輪を再び作ろう」とするサカナ団、そして市民参加の方々の姿とダブる様な構造を持っています。

 祭りの場面では江戸三大祭りで現在も活動を続ける深川富岡八幡葵太鼓の皆さんに出演して頂きました。実際に御輿や和太鼓を舞台に上げる試みは、太鼓という和の伝統とオーケストラという洋の伝統の異種格闘技でもあり、お互いにかなりの努力と協力を必要としましたが、当初の計算以上に自分達、すなわち日本人のDNAを刺激し、感動的な空気を作り出す事に成功しました。これも"祭"というものの存在が今でも地域に根付いている社会性=江東区だからこそ生み出せた作品と言えるでしょう。

 余談にはなりますが、配役の中で「イッサ」は江戸時代の歌人・小林一茶の分身である事は容易に想像できると思いますが、「マンハッタンのババ」はストラビンスキーのオペラ『プロディーガル・サン(放蕩息子)』に出てくる役名から取ったもの。マナミは同作品『プロディーガル・サン』の主人公の名前が「リアル・ラブ」であることから、その名を邦訳し「真の愛」(=まなみ)と名付けました。ではナオキの名はどこから? それは妙案が思い浮かばなかったので、その役を演じてくれる所谷直生氏の名前をそのまま使っているのです。

写真:長谷川清徳

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