国立オペラ・カンパニー 青いサカナ団





Repertory -公演詳細-

公演一覧スタンダード創作



<<第12回・13回公演
第15回公演>>

◆第14回公演 歌劇
「クローンのジュリエットは
    ロミオの夢を見るか?」
Does clone Juliet
    dream of Romeo?
1998年 9月26/27日 於・なかのZERO大ホール

作曲 :神田慶一
原作:神田慶一&八木清市(シェークスピアの「ロミオとジュリエット」を下敷きとした)
指揮 :神田慶一
脚本・演出 :八木清市
Cast :
ジュリエット;菊池美奈(9/26) 高島秀美(9/27)  ロミオ;所谷直生(9/26) 谷川佳幸(9/27)
ロレンス神父;米谷毅彦  新聞記者/星野 聡



photo


photo


photo

 新しいサカナ団の方向性、それは<新作オペラ>をまるで血に飢えた狼の様に、いやいや、乳を欲しがる乳飲み子の様に、猛烈な勢いで作ることでした。新作オペラ創作・上演は、それを生み出す時間・体力・制作費、どれをとってもスタンダード作品上演の何倍も苦労が伴います。それでもこの98年を境に神田慶一は怒濤の創作ラッシュに突入するのです。

 何故でしょうか? 理由はわかりません。唯一思い当たる点と言えば、1作目の『銀河鉄道』がストラビンスキーのバレエ音楽1作目『火の鳥』の歳に書かれたものであり、2作目の『アリス!』がストラビンスキーの1作目『ペトルーシュカ』の歳に書かれたものであり、ストラビンスキーが3作目の『春の祭典』を書いた歳が、神田に於けるこの年齢であった事です。こじつけの様に思われるかも知れませんが、結構真剣に意識していたのです。

 但し、この方向性に何らかの希望や期待があったこともまた確かです。新作の大変さは創作者のみならず全てのスタッフ、キャストにも相当の負担を要求します。新作を上演まで漕ぎ着ける過程は文字どおり命を削る労苦であり、それを共に分かち合う仲間達は戦友の様なものです。今思い起こしても、その仲間達への感謝で心が一杯になります。

 ともあれ、この時期よりサカナ団はオリジナルオペラの制作に没頭し始めるのですが、この新作は神田の第3作目であり、その内容にそれまでとは異なる大きな変化をもたらした作品でもあります。それまでが「子供のためのオペラ」という旗印を掲げていたのに対して、一転、自作によるグランド・オペラに挑戦しました。題材はシェークスピア原作の「ロミオとジュリエット」を下敷きにしつつ、<クローン>という現代的なテーマを織り込んだ恋愛物語です。タイトルから分かる方はかなりのSF通、もしくは映画マニアだと思われます。この作品のタイトルはディック原作の『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』(映画『ブレードランナー』の原作)のもじりです。作曲家・神田としては、ワーグナーの『トリスタンとイゾルデ』が根底にありました。エンディングのジュリエットの絶唱は、まるでイゾルデの歌う「愛の死」をイメージして創られたものです。これは(自画自賛になりますが)神田慶一の生み出した最も美しい旋律の1つに数えられると思っております。

 しかし、この作品には大きな1つの問題点が横たわっていました。それは<クローン>という主題がタイムリー(丁度、世界で初めてクローン羊のドリーが誕生した時期に重なる)である代償に、<クローン>の定義(実際にはどの様な存在として立ち現れるのか、人間のクローンはどういうものなのか)が想像の域を出ず、その設定に幾分の無理を強いた点です。何しろ時間と共に、クローンの最新情報が刻々と変わり、この作品内の設定に矛盾点を生じ始めたのですから。その結果、この作品は設定(すなわち原作・脚本のレベル)で必要に迫られた再演をその後行う事となります。

写真:長谷川清徳

<<第12回・13回公演
第15回公演>>





| 最新公演 | プロフィール | 公演一覧 | チケット予約 | お問い合わせ | トップページ |
facebookX







Copyright(C) L'OPERA DF POISSON BLEU. ALL rights reserved.